ととちゃんブログ~ママスマイル~

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【記憶に残っている、あの日】はじめての出産

 

はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」

 

2017年10月27日13時42分 

「ほら、生まれたよ。」

はぁ、はぁ、はぁ・・・長距離走を走った後のような荒い呼吸で乱れた私の目の前に、まだ目の開かない、手足もぎゅっと縮こめた小さな天使が見えました。

自然とその天使に右手が伸びていく。

しかし、触ることは許されず、私のそばから離れていく・・・。

 

その数秒後「おんにゃー!!」と、か細くもしっかりとした泣き声が耳に届いた。

初めて産声を聞いた瞬間だ。

生まれた時はまだ産声をあげておらず、助産師さん達の手によってさすられ、肺呼吸を始めたのだ。

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2日前・・・

41週を過ぎてもまだ産まれる気配がなく、医師からも「お腹の位置があまり下がっていない(赤ちゃんがおりてきていない)、子宮口も全く開いていない」と診断された。

出産予定日を過ぎると、赤ちゃんが大きくなりすぎる、胎盤の機能が低下するなどの理由で誘発分娩を検討することがある。

まず、お腹から外へ出る出口の大きさは赤ちゃんの頭ギリギリで、その中を頭や体を縮こめながら出てくる。児頭と母体骨盤の大きさを比較すると、通るのにあまり余裕がない広さであり、放っておくと児頭が更に大きくなり経膣分娩が不可能となってしまうリスクがある。

実際、分娩中助産師さんは「赤ちゃん頑張ってるよ!」「息して!赤ちゃんに酸素あげて!!」と長い道のりをやってくる赤ちゃん目線で励ましてくれる。

次に胎盤のお話。胎盤はお腹の胎児の成長には欠かせない。酸素や栄養を届けたり、赤ちゃんから出る老廃物をママの血液に戻す、有害物質が届かないようフィルターの役割を果たしている。

出産予定日を過ぎると、胎児の成長過多、羊水減少、胎盤の機能低下からの羊水混濁などが起こり、胎児の元気がなくなる可能性が出てくる。

 

無事に元気な赤ちゃんを産むため、医師から誘発分娩の説明が行われた。

 「赤ちゃんは約40週かけて母親の体内で育ち、母子共に出産の準備を迎えます。準備ができると母親の体は子宮を収縮させるホルモン物質を分泌し、お産が始まります。これが理想的な自然分娩の形式です。ただ、予定日を大幅に過ぎても陣痛がこない場合、自然経過を待たずに“陣痛促進剤“を使って人工的に分娩を進めた方が良い場合があります。」

“陣痛促進剤“。“分娩誘発剤“とも呼ばれ、母親から分泌されるホルモン物質を化学的に作り出したもので、母体や胎児に害のないものになる。

 

一通り説明が終わると入院の案内が行われた。

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・入院し、2日目に誘発分娩を行うこと。

・入院当日は11時に外来診察を済ませ、入院となる。

 

【入院当日〜出産前日〜】

午前11時、受付を済ませ診察室へ。

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子宮口が全く開いていないため、診察時に子宮に棒状のもの(水分を含むと膨張する)を入れて、1晩かけてゆっくり子宮口を開かせることに。(※お手洗い、シャワーOK)

痛い・・・

主治医がいない日のため非常勤の医師による内診で、いつもより痛くテンションがダダ下がりになった。

後から聞くと、診察室からでてきた私を見た夫はテンションの下がり具合に驚いたという。。。

その後、病室へ移動し、夫は面会が始まる14時まで一旦退出することに。

病室は、全室個室でベッドやクローゼットの他、洗面台やトイレ、冷蔵庫、テレビも常備されており、シャワー室以外は自室で済ませられる。

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面会の時間が終わり、いよいよ消灯時間。

翌日に出産すると決まっている私は緊張と不安で眠れない。改めて思う、自分の中に1つの命が宿っていて明日その子に会える。無事に産めるだろうか、明日の今頃自分は笑っているんだろうか・・・等々考えると不安で胸が推し潰されそうになる。自然と涙が流れる。

巡回中の看護士さんも「眠れない?」「少しは眠れそう?」と優しく声をかけてくれる。

 30分〜1時間おきに軽い生理痛のような痛みが・・・陣痛?と思い念のためアプリで記録した。

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【入院2日目〜出産当日〜】

1時間ほど眠れただろうか、看護士さんから体温と血圧を測るために起こされた。

その後、朝一番(7時頃)主治医の先生による内診があり「んー、まだかたいなぁ(子宮口が思ったより開いてない)」と。不安がまた広がる、昨日の医療器具を入れてもなおダメなんだ、不安に加えて悲しくなる。

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子宮口を更に広げるため、促進剤の前に子宮へバルーンを入れてる。バルーンは空気の入っていない風船で子宮に入れてから膨らませる。

その後、陣痛室へ移動。陣痛室は分娩室のすぐ隣りにあり、部屋としては病室と同じつくりだ。

 陣痛室で朝食を済ませ、テレビを観たりと少しゆっくり過ごし、いよいよ点滴にて促進剤投与開始。

促進剤投与からおよそ1時間後に陣痛が起こり始め、10分間隔の陣痛を何度か経験した後、2〜3分間隔に変わった。

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子宮口は6cm程まで広がり、気づけばバルーンも自然と抜けていよいよ体が産む準備に入ったようだ。 その後も何度か分娩室近くの診察室で内診を受ける。

 

「いきみたい感覚ある?例えばうんちがしたいようなキバリたい感覚。」助産師さんからそう声をかけられた。

・・・そういえば?!これがその感覚なのか分からないが、言われているとお尻に何か違和感が😵初めてのことだらけでよく分からず「あるかもです」。

 

再び診察室へ。

医師から「破水させた方がお産が早く進むから破水させるね」と言われ、あたたかい液体が太ももを流れたのを感じた。その後の進みは早く、陣痛が来ると歩けずうづくまる痛みが走った。

きつい生理痛をはるかに超えた痛みで、急な激痛を感じつつも息を吐くことを忘れずに(息を吸う意識よりも吐くことを意識すると自然と吸うため)、もがくように分娩室へ移動する。

移動途中にも陣痛の波がきては立ち止まり、助産師さんの手をギュッと握っていきみ逃がしをする・・・数メートルの移動が遥か遠くに感じる。

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「いきんで!!」

陣痛の波がくる度にそう声をかけられ懸命にいきむ。

「目閉じたらアカン!(ギュウっと瞑(つむ)ると血管が切れてしまう恐れがあるため)目しっかり開けて!!」

「息吐いて!吸って!!赤ちゃん苦しいよ、酸素あげて!!」

頭の中で“分からん、どこに力入れたらいいん?!“と無意識に考えながらいきむ。

いきむ力が弱かったからか、程なくして1人の助産師さんがお腹を上から押して出産の手助けをしてくれた。

はぁはぁはぁ・・・・

はぁはぁ・・・

「もう力抜いていいよー!」

いきむのをやめて、脱力していると股の方からドゥルンという感触が・・・

 

「ほら、生まれたよ。」

医師がはっきりとそう言った。

乱れた呼吸をしながら縮こまり目の閉じたモノが見えた。

“私の赤ちゃん“

自分の子どもは輝いて見えるというけれど、本当にスポットライトがあたってるようだ。さっきまでの痛みはどこかへ消え、その子が愛おしいという感情が芽生えていた。

 

お腹の中から外の世界へ出てきて、胎児から新生児へ。

産声をあげて、無事肺呼吸ができるようになった。

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赤ちゃんの体を拭いてもらい、体重や身長をはじめ頭囲、胸囲、腹囲をはかり、唇や口の中の状態、手足の指の数など異常がないかを確認してもらう。

赤ちゃんに異常がないことが確認され、ついに肌着とバスタオルを身にまとった我が子が、分娩台にいる私の元へやってきた。

初めての抱っこ、かわいい。

ここで感動の涙・・・はでず、まだ息を切らしていた私は呼吸を整えるので精一杯だった。

はじめての家族写真を撮ってもらい、赤ちゃんに初乳をふくませた後、私は陣痛室へ戻った。出産後2時間は陣痛室で休み、その後病室へ戻る。

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陣痛室で休んでいると、赤ちゃんが専用のベッドで運ばれてきて親子水入らずの時を過ごす。この間、夫も寄り添ってくれ、出産報告をした実父母が車で病院へ来て、陣痛室へ駆けつけた。

「おめでとう」

「あんたの赤ちゃんの時よりかわいいやん。」

「いやー、泣いた!泣き声かわいい!!」

「もっと泣いて!!」

とみんな口々に話し、生まれたばかりの赤ちゃんに興味津々。

 

出産当日は新生児室でお預かり。

翌日から母子同室になる。

 

外の世界へようこそ、会いたかったよ。これからよろしくね。

 

これが記憶に残っている、はじめての出産、はじめてママになった日のこと。